ひまし油とは

ひまし油とは

ひまし油とは

ひまし油とは

ひまし油は、トウダイグサ科のトウゴマ(Ricinus communis)と呼ばれる多年草の種子から採取する非可食性の植物性油脂の一種です。その歴史は古く、紀元前4000年頃に建てられたエジプトの墓所からもトウゴマの種が発見されています。ギリシャ時代から愛用されており、世界三大美女のクレオパトラは、その美しい目を魅力的に保つために、ひまし油点眼を行っていたとの記述があり、保湿力の高さから基礎化粧品として使用していたとも言われております。

インドではアーユルヴェーダの伝統的な医療として使われていて、紀元前2000年頃から便秘薬や灯りとして使っていたとも記述されています。中東では抜け毛や母乳のケアに使われていて、日本に伝わってきたのは10世紀頃で、中国から渡来したと言われています。

ひまし油の用途

植物油としては高粘度ですが、粘度指数はさほど高くはないという特性から、機械油などに用いられ、初期の航空機用エンジンの潤滑油としても使用されました(カストロール(Castrol)社の名称は、ひまし油の英語名(castor oil)に由来します)。第二次世界大戦中は零式戦闘機のエンジンオイルとしても使用されておりました。

世界のひまし油の市場規模は2020年で約74万トン(※市場調査レポート「ヒマシ油の世界市場:業界動向、市場シェア・規模・成長率・機会および予測(2021年~2026年)」より)と言われ、世界の植物油の生産規模は約2億トン超、大豆(約5,700万トン)や菜種(約2,400万トン)、オリーブ油(約3,300万トン)(※日本植物油協会データより)などの主要な油脂に比較すると非常に小規模ですが、今後も安定した市場であると見込まれております。

ひまし油のバリューチェーン

医薬品用途では局方ひまし油として、排毒や下剤用に使用されております。
ひまし油は不飽和脂肪酸を非常に多く含んでいる非常に特徴のある油で、工業用品として幅広く活用されております。ひまし油の加工品は、主には潤滑油、作動油、プラスチック、石鹸(せっけん)、 廃天ぷら油処理剤(凝固剤)、塗料、インキ、ワックス、医薬品、香水、髪油(ポマード・びん付け油)などの原料として用いられております。

また、プラスチックの一種であるナイロン(ポリアミド)の骨格原料となるセバシン酸は、ひまし油が出発原料です。有毒なリシンも種皮に含まれますが、ひまし油を搾油する際に高温で圧搾するため、熱に弱いリシンは無毒化されます。
化粧品では皮膚コンディショニング剤、乳化安定剤、界面活性剤などの化粧品原料に利用されております。

ひまし油の製造工程

当社はひまし油の原油を100%インドから輸入しております。
輸入したひまし油の原油は、当社内の大型タンクに保管した後、一次精製を行います。精製方法は非常に特殊で、天然油脂のため原料品質の振れ幅は大きく、世界トップグレードの品質をコントロールするために長年蓄積されたノウハウを持つ当社だからこそ達成でき、化粧品や高品質な潤滑剤など、高品質、高安定性を重要視されるユーザーの要望を確実に応えるために、非常に重要な工程となります。

一次精製されたひまし油は、様々な誘導体に加工されます。
当社のひまし油誘導体は他社品と比較して製品の色が薄く、特に12-ヒドロキシステアリン酸(当社製品名:12-ヒドロ酸)は当社の水素添加技術も活用し、高品質を求められるお客様のニーズにお応えしております。

ライスワックスとは

ライスワックスとは

当社はひまし油の加工品のみならず、循環型社会への貢献のひとつとして、私たちの主食であるお米を原料に、精米後の米ぬかから当社技術で抽出した天然のロウ(ワックス)を生産しております。資源の少ない日本において、数少ない自国内で原料から製品まで一貫して安定的に生産できる工業製品となります。お米に感謝です。

日本の米の生産量は年間約800万トン、精米後の米糠は約7万トン程度発生します。米糠には約20%程度の油分を含んでおり、こめ油として流通しています。
実は、ライスワックスの歴史はまだ浅く、1960年代から工業化された比較的新しいワックスで、それまでは燃料などにしており、蝋分を抽出することはありませんでした。当社も1960年代から生産しており、原料から製品まで純国産のライスワックスとして販売を行っております。

用途

ライスワックスは食用可能であり、その比較的高い融点を利用して、カルナウバワックスの代替としても用いられます。
主な用途は蝋燭、化粧品(口紅をはじめとするメイクアップ用品や保湿剤などの基剤)、食品(果物や野菜のコーティング、チューインガムの可塑剤など)、日用品(靴や車などのワックス、インク、カーボン紙)、プラスチックの滑剤や光沢剤、ゴムの可塑剤などに使用されます。

「お米」から持続可能な工業材料を創出

当社のライスワックス「R-WAX」はすべて国産原料を使用しており(国産証明書の発行も可能です)、水素を使用しない独自の製法で、他社品と比較して高純度と高い安定性を誇っております。生産量は非常に少ないですが、高品質のワックスを要望されるユーザー様の高い評価を得ております。安価な海外品と比較しても色味、蝋の溶け具合、燃焼安定性、強度に優れ、パラフィン蝋燭(化学ロウソク)と比較して、油煙が少ないという特徴もあります。植物原料を加工した製品ですので、カーボンニュートラル材料(CO2削減)として利用できます。

お問い合わせ

製品カタログやSDSのご希望、製品や受託製造に関するご相談、
その他お問い合わせ等、お電話またはお問い合わせフォームにてお問い合わせください。


PAGE TOP